- 日本におけるタンゴの歴史
タンゴの日本伝来に大きな役割を果たした人物として、目賀田綱美(めがた つなよし)男爵があげられます。目賀田男爵は、幕末期に活躍した幕臣勝海舟の孫にあたります。
綱美男爵の父である目賀田種太郎男爵は、1920年にジュネーヴで開催された国際連盟第一回総会に、日本代表団の一員として出席しました。綱美男爵は父に同行して渡欧し、その後パリに移り、1926年まで滞在しました。
パリ滞在中、綱美男爵は、当時タンゴの演奏やダンス文化が盛んであったキャバレー「El Garrón(エル・ガロン)」においてタンゴを学びました。同キャバレーでは、マヌエル・ピサロ楽団などが演奏を行っており、綱美男爵はそうした環境の中でタンゴを身につけました。
帰国後は、日本の華族社会にタンゴを紹介するとともに、舞踊の教授法をまとめた教材を刊行し、日本におけるタンゴ普及の基礎を築きました。
1930年代後半からは、国内で複数のタンゴ楽団が結成され、アルゼンチンでも名を知られる日本人アーティストが登場するようになりました。その中で最も有名なのが、歌手の藤沢嵐子(ふじさわ らんこ)です。
第二次世界大戦中、ジャズなどアメリカ発祥の音楽が放送禁止となったことが、アルゼンチン・タンゴが日本で広まる一因になったと考えられています。また、日本の演歌とタンゴには音楽的なスタイルに共通点があることも、人気の背景として指摘されています。
1954年には、フアン・カナロ楽団が日本で初めて公演を行い、その後、オスバルド・プグリエーセ楽団など多くの楽団が来日しました。現在、タンゴは日本で高い人気を誇り、全国各地に数多くのタンゴ教室やミロンガが存在します。
2003年には、ブエノスアイレスで第1回タンゴダンス世界選手権が開催されました。翌2004年から東京においてタンゴダンス・アジア選手権が開始され、世界初の公式予選大会として、現在も毎年開催されています。
- タンゴの普及および発展への貢献を称える表彰
日本は、世界でも有数のタンゴ文化が根付いた国ですが、今後はその魅力を如何に新たな世代へ広げていくかが課題となっています。こうした中で、アルゼンチン共和国大使館は、様々な賞を通じてタンゴの普及を支援しています。
1.ダリエンソカップ 「ニュースター部門」賞
ダリエンソカップ(Copa D’Arienzo)は、2019年より毎年東京で開催されているアルゼンチン・タンゴ・ダンスの競技大会です。新型コロナウイルス感染症の影響により、2020年および2021年は開催が見送られましたが、2022年に再開され、2023年、2024年、2025年と継続して開催されています。
本大会は、タンゴの歴史において中心的存在であるフアン・ダリエンソ(Juan D’Arienzo)に敬意を表するもので、日本国内のみならず、アジア各地からダンサーが参加しています。2025年には、初めて韓国で予選大会が開催され、優勝者には東京で行われる決勝大会への出場資格が授与されました。
本大会は、アルゼンチン共和国大使館の後援のもと、日本タンゴ連盟(FJTA)および国内の複数のタンゴ・アカデミーの協力を得て開催されています。ダリエンソカップには以下のカテゴリーが設けられています。
【ペア部門】タンゴ部門/ミロンガ部門/ワルツ部門
【Pugliese50部門】
【Di Sarli 60部門】
【GoldenAge70部門】
【ヴァリアシオン部門】
【J&J & シングル部門】タンゴ部門/ミロンガ部門/ワルツ部門
【ニュースター部門】
2024年大会では、大使館の提案により、タンゴ歴3年未満の“新星”ダンサーのための「ニュースター」部門が新設されました。厳選された10曲の古典タンゴの中から3曲が課題曲として選ばれます。経験が浅くても、思い切り挑戦できる絶好の機会です。
詳細につきましては、以下の公式サイトをご参照ください。
2. FJTA日本タンゴ大賞 「アルゼンチン共和国大使賞」
FJTA (日本タンゴ連盟Federación Japonesa de Tango Argentino)が主催する「日本タンゴ大賞」は、2022年より、日本におけるタンゴ文化の普及・発展に寄与する活動や人物を顕彰することを目的とした賞です。
従来、本賞はメディア部門賞、イベント部門賞、音楽部門賞、タンゴ舞台賞、社会貢献部門賞の5部門で構成されていましたが、2025年に「メディア部門」を改編し、新たに「アルゼンチン共和国大使賞」と改称しました。
この改編は、大使館の推進する「若い世代をはじめとする新たな層へのアプローチの重要性」に鑑み、大使館とFJTAが協議を重ねた結果によるものです。本賞の趣旨は以下のとおりです。
タンゴ文化、特に新しい世代への普及活動において優れた功績を残した個人または団体を顕彰する。受賞者は、駐日アルゼンチン共和国大使の同意のもとに決定する。
詳細につきましては、以下の公式サイトをご参照ください。
https://www.fjta.jp/news/3819/
- タンゴダンス・アジア選手権
タンゴダンス・アジア選手権は、アジア地域における主要なタンゴ競技大会の一つであり、アジア各国からの参加者数は年々増加しています。
本大会は、アルゼンチン・タンゴの芸術性および技術水準の向上を図るとともに、アジアとアルゼンチンの文化交流を促進し、国境を越えた普遍的な表現としてのタンゴの価値を広く発信することを目的としています。
競技に加え、著名なダンサーによるデモンストレーションなどの関連プログラムも実施されます。
本大会は、以下のカテゴリーで構成されています。
ステージ部門
ピスタ部門
ミロンガ部門
ワルツ部門
セニョール部門
Jack & Jill 部門
ステージ部門およびピスタ部門の優勝者には、ブエノスアイレスにて開催されるタンゴダンス世界選手権への出場資格が付与されます。
審査員は、アルゼンチンおよび日本の著名なダンサーにより構成されています。
詳細につきましては、以下の公式サイトをご参照ください。
https://2025.tangodanceasianchampionship.tokyo/
